米国商標登録プロセスのタイムライン:わかりやすい完全ガイド

グローバル展開の要となる米国市場。そこでビジネスの足場を固める日本企業にとって、商標登録は単なる法的手続きではなく、将来の成長を左右する重要な戦略的投資です。しかし、Trademark Takumiを利用される多くのクライアントとの対話を通じて明らかになったことは、多くのブランドオーナーが米国での商標登録にかかる具体的な期間について正確な知識を持ち合わせていないという現実です。

「米国で商標を登録するまでに、実際どれくらいの時間がかかるのだろう?」

この問いは、市場参入のタイミングを計る経営者にとって非常に重要です。予測可能なタイムラインを把握することは、事業計画の確実な実行、適切な予算配分、そして何より貴重なブランド資産の保護において不可欠な要素となります。

直近の改善はありましたが、米国特許商標庁(USPTO)での商標登録プロセスは長期化する傾向にあります。出願数の急増、審査の厳格化、新しい料金体制の導入、そして国際的な商標環境の変化―これらの要因が複雑に絡み合い、登録完了までの道のりに新たな課題をもたらしています。

この記事では、USPTOの最新情報とTrademark Takumiに所属する経験豊富な日本人米国弁護士の知見に基づき、商標登録プロセスの全体像を明確にし、各段階での所要時間、潜在的な障壁、そして登録期間を短縮するための実践的な戦略を詳細に解説します。日本企業特有の事情も考慮した、実務に即したアプローチをご紹介します。

米国市場でのビジネス成功の鍵は、先を見据えた準備にあります。この完全ガイドが、ブランド戦略の確かな道しるべとなることを願っています。

1. USPTOの現在の処理状況と待機時間

1.1 平均待機時間(2025年2月現在)

USPTOの最新データによると、商標出願から登録までの平均所要時間は約12.5ヶ月となっています。これは出願から登録または放棄までの平均期間であり、最初の実質的な審査は出願から約6.1ヶ月後に行われます。これは目標となる期日よりも短く、全体としてはUSPTOが理想としているタイムラインで稼働しています。

また、USPTO商標ダッシュボードを確認すると、過去数年間は審査期間が延長してしまう傾向にありましたが、直近のデータでは平均所要時間が短縮されてきています。

1.2 最近まで続いていた遅延の理由

現在は回復傾向に向かっていますが、近年の処理期間の長期化には複数の要因がありました:

  1. 出願数の急増: 2020年以降、USPTOへの商標出願は年間平均10%以上増加し続けています。特にコロナ禍でのオンラインビジネスの急成長は大きな要因となりました。また、今年も現時点で10.9%増となり、この増加傾向は今後も続くことが予想されます。
  2. 虚偽出願の増加: 特に海外からの虚偽使用証明を伴う出願が増加し、審査体制の強化が必要となっています。
  3. 審査の厳格化: 不正出願への対策として、USPTOは審査プロセスを厳格化しており、特に使用証明の確認に時間をかけるようになっています。そのため、統計データを見ても、使用証明の確認に関する工程の日数に関しては長期化傾向にあります。
  4. 審査官の人員不足: 商標出願の急増と審査基準の厳格化に対応するため、USPTOは審査官の増員を進めていましたが、必要な人材の採用・育成が需要に追いつかず、処理能力が限界に達していました。

しかし、2023年からUSPTO Reducing Trademark Wait Times Initiativeという待機時間短縮イニシアチブが開始さました。このような取り組みにより、審査官の追加採用や審査プロセスの効率化などの対策が行われ、上記のように最近になって審査期間の遅延が抑制され、全体では目標値近くまで短くすることができました。

1.3 ステータス確認方法

日本からアメリカに商標を出願する場合、原則、アメリカにおける代理人(つまり、米国弁護士)が必要になります。そのため、出願された商標に関するステータスは担当代理人に聞けばいつでもわかるのですが、出願された商標の出願番号(US Serial Number)がわかれば、USPTOの「商標ステータスおよび文書検索(TSDR:Trademark Status and Document Retrieval)」システムを使用して、いつでも出願の進捗状況を確認できます。

TSDRシステムへのアクセス方法:

  1. USPTO公式サイトにアクセス
  2. 「Trademarks」タブを選択
  3. 「Check Application Status (TSDR)」をクリック
  4. 次の画面で「Check Status and View Documents in TSDR」をクリック
  5. TSDRの画面が出てくるので、選択が「US Serial, Registration, or Reference No.」であるのを確認し、その横のボックスに出願番号(US Serial Number)を入力し、StatusかDocumentsを押す

このシステムでは以下の情報が確認できます:

  • 出願の基本情報
  • 出願の現在の状態(審査待ち、審査中、公告待ち、登録待ちなど)
  • 審査官から送られたオフィスアクションなどの通知内容
  • 出願に関する全ての書類と履歴

TSDRシステムのユーザーインターフェースは多少古く、直感的ではない部分もあります。特に初めて利用する方にとっては、表示される法的用語やコードや番号が分かりずらいこともあるでしょう。個別案件において表示されている情報の解釈やその意味についてご質問がある場合は、遠慮なくTrademark Takumiにお問い合わせください

2. 米国商標登録プロセスの大まかな流れ

商標登録プロセスは複数の段階を経て進行します。各段階での対応が適切であれば次のステップに進みますが、問題が発生すると追加のステップや時間が必要になります。

2.1 出願

出願方法

USPTOの専用ポータルを通じて電子出願を行います。USPTOに支払う商標に関する手数料は、原則、指定する商品および役務(サービス)の区分(Class)ごとに計算されます。なお、USPTOの費用体系は最近大きく改定されましたが、費用の詳細については長くなるため、ここでは概要のみ説明し、具体的な金額や出願タイプの詳細については別途解説いたします。

今までの料金形態では、主に以下の3つの出願タイプがありました:

  1. TEAS Plus:最も厳格な要件が求められるものの、最も低い費用で出願が可能だった。USPTOが事前承認した商品/役務の記述を使用する必要あり。
  2. TEAS RF:TEAS Plusよりも柔軟性でしたが、オンライン出願に限定されていた。
  3. TEAS Regular:最も制約が少なかったが、最も高額な手数料がかかっていた。

比較的古い情報ではまだ上記のような料金形態が記載されていることもありますが、現在は上記のような複数の出願タイプによる分類はなく、「区分ごとの基本出願費用」(Base application, per class)に統一されています。

しかし、USPTOが定める規定に外れる出願を行った場合、追加料金が発生することがあります。例えば、必要な情報が含まれていない(Insufficient information)場合、商品または役務の記述にUSPTOの基準に満たない文言がある(Contain custom identifications of goods or services)場合、識別情報が長い(Have lengthy identifications)場合などは、それぞれ追加料金がかかります。これらの手数料は、2025年初めの料金改定で追加され、完全な出願をすることを奨励し、審査効率を向上させ、商標登録にかかる時間を短縮する目的があります。

出願に必要な情報

出願時には以下の情報を準備する必要があります:

  1. 出願人情報:企業名、住所、居住している国など
  2. 商標の詳細:標準文字かデザイン要素を含むかなど
  3. 商品/役務の説明:どの区分(クラス)で、どのような商品/サービスに使用するか
  4. 使用証明(第1条(a)項の場合):実際の使用例を示す見本
  5. 手数料:区分ごとに料金を計算
  • 第1条(a)項の場合というのは、米国商標法における「実際の使用に基づく出願」を指します。この第1条(a)項と第1条(b)項(使用意思に基づく出願)の詳細については、後のセクションで詳しく説明します。

USPTO商標センターでは、商標に役立つウェブページやリソースを提供しており、出願方法に関するガイドやチュートリアルビデオも提供されています。しかし、出願書類の作成には専門的なノウハウが必要です。適切な範囲での商標権の取得、全体的な費用の縮小、そしてスムーズな審査プロセスを実現するためには、信頼できるアメリカの商標法に精通した弁護士に出願を依頼することを強くおすすめします。経験豊富な専門家のサポートを受けることで、将来的な問題を未然に防ぎ、効率的に商標権を確保することができます。

2.2 審査

審査プロセスの概要

出願が提出されてから実質的な審査が行われるまでに、現在約6.1ヶ月かかっています。審査官は主に以下の観点から審査を行います:

  1. 絶対的拒絶理由:商標自体に内在する問題がある場合。例えば、一般的な用語(generic terms)の使用、単に商品やサービスを説明しているだけの表現(merely descriptive)、消費者に誤解を与える可能性のある表示(deceptive)などが該当します
  2. 相対的拒絶理由:既存の商標との混同の可能性がある場合。例えば、先行登録商標や出願中の商標と類似している(likelihood of confusion)、著名商標の希釈化(dilution)を引き起こす可能性がある、他者の氏名や肖像を無断で使用しているなどが該当します
  3. 手続的問題:出願書類の不備、分類の誤り、必要な情報の欠如などが該当します

審査官は年間約600件の出願を処理しており、1件あたりの初期審査には通常4〜6時間を費やしています。審査の際は、USPTOの包括的なデータベースを使用して類似商標がないかを確認します。

オフィスアクション対応のコツ

審査中に問題が見つかると、「オフィスアクション」(Office Action)と呼ばれる通知が送られてきます。これには2種類あります:

  1. 非最終的オフィスアクション(Non-Final Office Action):初期段階での問題点を指摘するもので、審査官が出願内容に関して疑問や懸念を持った場合に発行されます。これには、商標の記述的性質、混同の可能性、商品・役務の説明の不明確さなどの実体的な問題から、出願人の情報の不備などの手続的な問題まで、様々な内容が含まれることがあります。この段階では、出願人は問題点に対して修正や反論を行う機会が与えられます。
  2. 最終的オフィスアクション(Final Office Action):上記の非最終的オフィスアクションへの応答後も問題が解決していない場合に発行されます。これは、出願人の回答が審査官の懸念を十分に解消できなかった場合や、新たな問題が発生した場合に送られます。この段階では、出願人の対応オプションが限定され、追加の手続きや費用が必要になることがあります。最終的オフィスアクションへの対応には、より慎重な戦略が求められます。

オフィスアクションへの応答期限は各書面に明記されていますが、通常3ヶ月です。以前までこの応答期限は6ヶ月でしたが、2022年12月に変わりました。また、この対応が遅れると出願が放棄される可能性がありますので、慎重かつ迅速な対応が求められます。もし期限を逃した場合、「Revival Petition」(復活請求)という救済措置が用意されていますが、追加の手数料と正当な理由が必要であり、復活できる保証はありませんのでご注意ください。

このように、オフィスアクションへの対応は商標登録において非常に重要な局面です。アメリカ在住の場合、商標出願手続きを自分で行うことがありますが、そのようなケースであっても、オフィスアクションを受け取った時点で専門家に相談することをお勧めします。特に、実体的な拒絶理由(商標の識別力の欠如や先行商標との混同可能性など)に対しては、専門家のサポートが必要不可欠です。

2.3 公告

審査をクリアすると、出願は「商標公報(Trademark Official Gazette)」に公告されます。この公報は毎週火曜日にオンラインで公開され、一般に閲覧可能です。公告期間は30日間で、この間に第三者が異議申立て(Opposition)を申し立てることができます。

公告後の可能性

公告後に起こり得るケースは主に3つあります:

  1. 異議申立てなし:30日間の公告期間中に異議申立てがなければ、次のステップに進みます。
  2. 異議申立て:第三者が商標登録に異議を申し立てた場合、商標審判部(TTAB:Trademark Trial and Appeal Board)での手続きが開始されます。この手続きは通常1〜2年かかります。
  3. 異議申立て期間延長請求:第三者が異議申立ての検討のために30日間の延長を要求することがあります。

異議申立て率は全出願の約3%と比較的低いですが、特に著名な商標や競合が多い分野では高くなる傾向があります。
異議申立てがあった場合は、商標法に精通した専門家(弁護士)に相談することを強くお勧めします。TTABでの手続きは複雑で専門的な知識を要するため、適切な対応戦略を立てるには専門家のサポートが不可欠です。

2.4 登録

異議申立てがない(または異議が却下された)場合、第1条(a)項出願(つまり、実際の使用に基づく出願)の場合は登録へと進みます。しかし、第1条(b)項出願(つまり、使用意思に基づく出願)の場合は許可通知(Notice of Allowance、NOA)が発行され、商標の実際の使用を開始したことを示す使用宣誓書(Statement of Use)を提出する必要があります。

第1条(a)項出願、第1条(b)項出願については、下記の出願タイプ別の特徴で説明しています。

登録後の維持

商標登録後も定期的なメンテナンスが必要です:

  1. 使用宣誓書・更新申請:登録後5〜6年目に最初の使用宣誓書を提出
  2. 継続使用宣誓書と更新:登録後9〜10年目、その後10年ごとに提出

これらの維持手続きを怠ると、商標登録が取り消される可能性があります。USPTOは期限の6ヶ月前に通知を送りますが、最終的な責任は商標権者にあります。

特に米国は登録後5〜6年目に特別な手続きが必要な世界的にも珍しい制度を持っています。そのため、更新手続きを逃してしまうという事態を避けるためにも、商標取得後も信頼できる弁護士事務所に維持管理を依頼し、適切な管理体制を構築することが強く推奨されます。

3. 出願タイプ別タイムライン比較

米国商標法では、主に2つの出願タイプがあります:実際の使用に基づく「第1条(a)項(Section 1(a))出願」(Actual Use Application or Use in Commerce Application)と、使用意思に基づく「第1条(b)項(Section 1(b))出願」(Intent-to-Use Application)です。それぞれのタイムラインは異なり、ビジネス戦略に大きく影響します。

3.1 タイプ別処理期間の違い

段階 第1条(a)項:実際の使用 第1条(b)項:使用意思
出願提出 0日目 0日目
審査官への割当 約6〜9ヶ月 約6〜9ヶ月
最初の審査アクション 平均6.1ヶ月 平均6.1ヶ月
公告(問題なしの場合) 承認後約1ヶ月 承認後約1ヶ月
異議申立期間 30日間 30日間
登録 合計約12.5ヶ月 使用宣誓書提出後。延長申請により数ヶ月〜数年延長可能

USPTOのSection 1(a)タイムラインSection 1(b)タイムラインでは、各出願タイプの詳細なステップと期間が図解されています。特に第1条(b)項出願は、使用宣誓書の提出時期によって全体の期間が大きく変わるため、注意が必要です。

3.2 出願タイプ別の特徴

第1条(a)項出願の詳細

第1条(a)項出願は、すでに米国内の州際取引(Interstate Commerce)または外国との取引で商標を使用している場合に選択できます。

このタイプの出願の特徴は:

  1. 使用見本の即時提出:出願時点で実際の商業的使用の証拠(見本、Specimens)を提出する必要があります
  2. 見本の要件:商品の場合は商品に付された商標(タグ、ラベルなど)、サービスの場合はサービス提供時に使用される広告などが必要
  3. 最初の使用日:米国内での最初の使用日、および州際/国際取引での最初の使用日を申告する必要があります
  4. 処理期間:問題がなければ登録まで通常12〜18ヶ月で完了します

第1条(b)項出願の詳細

第1条(b)項出願は、まだ商標を使用していないが、近い将来使用する意思がある場合に選択できます。

このタイプの出願の特徴は:

  1. 使用宣誓書(Statement of Use):公告後に「許可通知(Notice of Allowance、NOA)」が発行され、その日から6ヶ月以内に使用宣誓書を提出する必要があります。この際、商標の実際の商業的使用を示す証拠(見本、Specimens)の提出も必須です
  2. 見本の要件:使用宣誓書提出時には、商品の場合は商品に付された商標(タグ、ラベルなど)、サービスの場合はサービス提供時に使用される広告などの商業的使用の証拠が必要です
  3. 延長可能期間:使用宣誓書の提出期限は、6ヶ月ごとに最大5回まで延長可能で、合計で最長36ヶ月(NOA発行日から)まで延ばすことができます
  4. 延長申請手数料:各延長申請には手数料がかかります
  5. 戦略的メリット:まだ使用していなくても商標権の優先日を確保できる点が大きなメリットです

米国商標出願基礎の比較研究によると、日本企業の場合、米国での使用開始前に権利を確保するために第1条(b)項出願を選択するケースが多いようです。

3.3 出願タイプの選択に関する実務的アドバイス

出願タイプの選択は単なる法的要件の問題ではなく、ビジネス戦略にも関わる重要な決断です:

  1. すでに米国で使用している:明らかに第1条(a)項が適切です
  2. 近い将来(3〜6ヶ月以内)に使用開始予定:第1条(b)項で出願し、使用開始後すぐに使用宣誓書を提出
  3. 長期計画(1〜3年後)に使用予定:第1条(b)項で出願し、必要に応じて延長申請
  4. 使用時期が不明確:マーケティング計画と照らし合わせて検討が必要

注意点として、第1条(b)項出願で「使用する真摯な意思(bona fide intention)」がないと判断された場合、後に異議申立てや取消手続きの対象になる可能性があります。実際のビジネスプランや市場調査資料などを保管しておくことをお勧めします。

4. 審査プロセスの詳細

USPTO審査プロセスの各段階を詳しく理解することで、潜在的な問題を予測し、効率的に対応することができます。

4.1 初期審査

出願が提出されると、まず方式審査と呼ばれる基本的なチェックが行われます:

  1. 出願番号(シリアル番号)の割り当て:出願はユニークな7桁の番号で識別されます
  2. 最低要件の確認:出願人情報、商標の明確な描写、商品/サービスのリスト、手数料の支払いなどの基本要件を満たしているか
  3. データベース登録:出願情報がUSPTOのデータベースに入力され、公開されます
  4. 審査官への割り当て:出願は特定の商品/サービス分野を専門とする審査官に割り当てられます

初期審査の段階で重大な不備(必要情報の欠如や手数料未払いなど)がある場合、「Missing Parts Notice」が発行され、対応が求められます。対応しない場合、出願は放棄されます。また、場合によっては、必要な情報が含まれていない(Insufficient information)と判断され、追加費用の支払いが求められる可能性もあります。

4.2 実質的審査

審査官による実質的審査では、以下の点が詳細にチェックされます:

  1. 商標の登録可能性:商標が以下の理由で登録できないかどうか

    • 一般名称である(例:「APPLE」というブランド名でリンゴを販売)
    • 単なる記述的表現である(例:「COLD AND CREAMY」というアイスクリームブランド)
    • 誤解を招く表現である(実際の原産地と異なる地名を使用するなど)
    • (図形商標の場合)単なる装飾的要素である
  2. 類似商標の調査:既存の登録商標や出願中の商標と混同を生じる可能性があるか

    • 視覚的類似性(見た目が似ている)
    • 聴覚的類似性(発音が似ている)
    • 観念的類似性(意味が似ている)
    • 商品/サービスの関連性
  3. 商品/サービスの区分と説明

    • 適切な国際分類に区分されているか
    • 商品/サービスの説明が明確で具体的か

審査官は商標審査マニュアル(TMEP:Trademark Manual of Examining Procedure)に基づいて審査を行います。このマニュアルには、審査官が従うべき詳細な基準と手順が記載されています。

4.3 オフィスアクション

審査中に問題点が見つかった場合、審査官は「オフィスアクション」と呼ばれる正式な通知を発行します。オフィスアクションには以下の情報が含まれています:

  1. 拒絶理由:なぜ商標が現状では登録できないのかの説明
  2. 引用された先行商標:混同のおそれがある既存の商標の詳細
  3. 補正要求:出願内容の修正が必要な点
  4. 応答期限:通常は発行日から3ヶ月以内

オフィスアクションの対応には、次のような選択肢があります:

  1. 意見書の提出:拒絶理由に反論する法的根拠を示す
  2. 出願内容の補正:商品/サービスリストの修正や権利不要求(ディスクレーマー)の追加など
  3. 同意協定の提出:引用された先行商標の権利者との合意がある場合
  4. 審査官へのインタビュー:複雑な問題について審査官と直接話し合う

USPTO処理遅延を避けるためのヒントでは、オフィスアクションへの効果的な対応方法が詳しく説明されています。

4.4 承認または最終拒絶

オフィスアクションへの応答後、審査官は以下のいずれかの判断を下します:

  1. 承認:全ての問題が解決され、出願が公告段階に進む
  2. 最終オフィスアクション:問題が解決されておらず、最終的な拒絶理由が提示される
  3. 非最終オフィスアクション:新たな問題が見つかった場合、再度非最終オフィスアクションが発行される

最終オフィスアクションを受けた場合の選択肢:

  1. 応答の提出:新たな証拠や議論を提示(審査官の裁量で受理される場合と拒否される場合がある)
  2. 審判請求:商標審判部(TTAB)への審判請求

審判請求にはさらに6〜12ヶ月の時間と追加の法的費用がかかるため、可能であれば審査官との合意を目指すことが望ましいでしょう。

4.5 公告と異議申立て

審査官が出願を承認すると、出願は「商標公報(Trademark Official Gazette)」に公告されます。この段階では:

  1. 公告前レター:公告日の通知が送られます
  2. 30日間の異議申立期間:第三者が異議を申し立てることができます
  3. 異議申立て手続き:異議が申し立てられた場合、TTABでの準司法的手続きが開始されます
    • 答弁書の提出(申立て受領から40日以内)
    • ディスカバリー(証拠開示)
    • 証言期間
    • 審理と判断

異議申立て手続きは、通常の訴訟よりは簡略化されていますが、それでも1〜2年かかることが一般的です。当事者間で和解に至るケースも多く、全ての異議申立てが最終判断まで進むわけではありません。

TBMPマニュアルでは、異議申立て手続きの詳細なルールと期限が説明されています。

5. 審査時間を短縮するためのヒント

ここからは、USPTO(米国特許商標庁)の審査プロセスをスムーズに進めるための実践的なアドバイスをいくつかご紹介します。これらの方法は、特に市場への参入タイミングが重要な企業にとって役立つでしょう。

5.1 正確な出願

出願の質は審査の速度に直接影響します。以下のポイントに注意しましょう:

  1. USPTOの識別マニュアル(ID Manual)の活用

    • USPTOが事前承認した表現を使用することで、商品/サービスの説明に関する拒絶理由が出されるリスクを軽減できます
    • Trademark Takumiでは、原則、このマニュアルから選択した表現のみを使用して出願しています
    • 日本語から英語への直訳ではなく、USPTOが認める正確な表現を使用することが重要です
  2. 商標検索の徹底

    • 出願前に包括的な商標検索を行い、類似商標の存在を確認
    • 単純な検索だけでなく、発音や意味が類似する商標も調査
    • 必要に応じて専門家による調査の利用を検討
    • Trademark Takumiでは、州レベルで登録されている商標や未登録の商標(common-law trademark)も含む包括的な調査も行っています
  3. 明確な商標見本の提出

    • 高解像度で商標がはっきりと視認できる未加工の画像を提供
    • デザイン要素を含む商標の場合、複数の角度や使用例を提供すると有効
    • 見本の信憑性はUSPTOが特に気にかけている要素なので、Trademark Takumiでは入念なチェックの後、商標見本を提出しています

適切な準備により、オフィスアクションの可能性を減らし、全体のプロセスを最大3〜6ヶ月短縮できる可能性があります。

5.2 迅速な応答

オフィスアクションへの応答期限は通常3ヶ月ですが、できるだけ早く対応することが重要です:

  1. 優先的対応

    • オフィスアクションを受け取ったら、できるだけ早く内容を確認
    • 期限までぎりぎり待つことなく、1ヶ月以内の応答を目指す
    • 特に単純な修正の場合は、1〜2週間以内の応答が理想的
  2. 包括的な応答

    • 全ての拒絶理由に対して漏れなく対応
    • 曖昧な回答や部分的な回答は追加のオフィスアクションを招く可能性がある
    • 必要に応じて専門家の助言を求める

Trademark Takumiでは受け取ったオフィスアクションを迅速に分析し、明瞭な見積もりと共にクライアントからの応答の許可を得た段階で素早く対応しています。これにより審査プロセス全体の時間短縮に貢献し、クライアントの商標権をより早く確保できるよう努めています。

5.3 適切な使用見本の提出

使用見本(Specimen)は商標審査の重要な部分であり、適切な見本を提出することで遅延を防ぐことができます:

  1. 商品の適切な見本

    • 商品自体に付された商標(ラベル、タグ、パッケージなど)
    • 単なる広告ではなく、実際の商取引での使用を示すもの
    • オンライン販売の場合は、「購入」ボタンと共に商標が表示されているページのスクリーンショット
  2. サービスの適切な見本

    • サービス提供時に商標が表示されている広告
    • ウェブサイトでサービスの内容と共に商標が表示されているページ
    • パンフレットやチラシなどの宣伝材料

USPTOの見本要件に関するガイドは少し古いですが、見本の実例も掲載されている有益なリソースです。事実、不適切な見本はオフィスアクションの最も一般的な理由の一つであるため、適切な使用見本を提出することで数ヶ月の遅延を防ぐことができます。

6. まとめ

米国での商標登録プロセスは、現在の平均所要時間が出願から登録または放棄まで約12.5ヶ月、最初の実質的審査までは約6.1ヶ月となっています。通常の状況下では12〜18ヶ月かかりますが、事前の徹底した商標検索、USPTOが事前承認した商品/サービスの表現の活用、明確な商標見本の提出などの準備により、オフィスアクションの可能性を減らし全体のプロセスを短縮できる可能性があります。また、オフィスアクションへの迅速かつ包括的な対応も重要です。使用意思に基づく第1条(b)項出願は、出願人が使用宣誓書をどれだけ早く提出するかによって、所要時間がさらに長くなる可能性がある点に注意が必要です。適切な準備と専門家のサポートを受けることで、効率的に商標権を確保することができます。

Trademark Takumiでは、米国商標登録プロセスを円滑に進めるための包括的なサポートを提供しています。弊所の専門チームが、出願前の商標検索から登録、その後の管理まで、すべての段階でサポートいたします。米国商標登録についてのご質問やご相談は、お気軽にお問い合わせください。


この記事の情報は2025年2月時点のものです。USPTOの処理時間や手続きは変更される可能性がありますので、最新情報については常にUSPTOの公式ウェブサイトをご確認ください。

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